ボルボさんの進化

 

 

世代交代

アウディの日本販売が絶不調だそうで、MINIやVOLVOと互角の輸入ブランド4位争いをしています。ちなみに10月はMINI(1709台)、AUDI(1504台)、VOLVO(1223台)です。2010年頃は、AUDIは今よりもずっと注目度が高かったですし、VOLVOは日本からの撤退も噂されていて中古車市場が大暴落してましたけども、あれから10年近くが経過してやはり状況は変わるものですね。栄枯盛衰。

 

アウディの時代は・・・

AUDIは2000年代に急成長を遂げ、ドイツ市場でBMWを超えるなど大きな成果を見せました。北米や日本でもレクサスに匹敵する静粛性の高さが評判で、世界最高のクオリティを主張できるブランドになりました。レクサスに匹敵する静粛性って、なんだかどっかの国内メーカーにもそんなのがあったような気がするなー。

 

 

名門ブランドの凱旋

一番刺激を受けたのはメルセデスだったようで、全くの不調だった2000年代が嘘のような躍進を2013年ごろから見せています。2000年代のメルセデスがイマイチだったことから、アウディの台頭を許したわけですが、そこから大いに反省してCクラス、Eクラス、Sクラスが大きく進化し、ことごとく良く売れるようになったのだから、日本市場のアウディは当然に苦しくなるよなー(日本人はブランド好きだからさ・・・)。

 

 

攻めの姿勢

メルセデス、アウディ、レクサスそれからボルボ、そしてマツダ。この5ブランドが、おそらく中上級モデルの各クラスにおいて「静粛性」「乗り心地」「高品質」でクラストップの座を争っている。マツダに乗って得られる・・・「へーすごいねー」って感覚を、同じレベルで実現できているブランドがこの5つ。まあ日産、ホンダ、三菱もそれほど遜色なく追従してはいるのだけど、インテリアのデザインなどにこだわりはあまり感じない。5ブランドはユーザーのニーズに見事に先回りしているのに対して、日産、ホンダ、三菱は相変わらず他社を見ながら仕様を決めてる気がするんですよ・・・。

 

 

経営危機は全てを変える

ドイツと日本のブランドが2つずつ。そこに割って入ってくるボルボってなかなかだなー。2000年代においては、メルセデス、ボルボ、マツダはそれぞれにややハイスペック気味のユニットを搭載して、現在の各モデルからはちょっと想像できないくらいに猛々しいエキゾーストと、NVHをものともしない荒々しい走りを隠そうともしないキャラクターだったのですが、わずか10年足らずでレクサス、アウディのようなエレガントな居住性を売りにするブランドに変わりました。

 

 

「スポーティ」はもはや絶滅寸前!?

そんな変わり身の早さに驚いているのが、日産、ホンダ、BMWあたりで、「え?そんな去勢されたクルマがいいの!?」とやや市場に対して戸惑いすら感じているかもしれません。しかし目の前で、伝統のメルセデスはともかく、ボルボやマツダの上級モデルがかなり好評で、日本でも700万円のボルボ、400万円のマツダが当たり前に売れていれば、そりゃ慌てるよなー。

 

 

成り上がり者の末路・・・

アウディ&レクサスの低調は、メルセデスの復活だけでなくボルボやマツダの上級モデルが伸びていることもかなり影響を受けているのだと思います。高級車のシェアってそんなに簡単に開拓できるの!?って気がしますが、ボルボもマツダも半世紀にわたって日本でクルマを売ってきた誰もが知っている老舗ブランドであり、レクサスやテスラあるいはアウディよりもよっぽど定着している。レクサス&アウディは、メルセデス、ボルボ、マツダにブランド力で喰われている!?極端な話SUZUKIやDAIHATSUも思い切って高級車を作ったら案外売れるんじゃないかと思う。

 

 

メルセデスがまともなら最強

メルセデスは2013年以降は、比較的に低価格なモデルを多く注入している。Aクラスは3世代目から増産を決めていて、下請け工場と年産10万台規模の契約を結んでいたために、日本でもかなり割安で当初から値引きがすごかった。メルセデスが3代目Aクラス発売以降、輸入ブランドのトップを走り続ける大きな理由はダンピングにもある。特別なブランドだけに許された戦略。

 

 

ブランディング

アウディやレクサスが辛いところは、メルセデスには許されたダンピングができない点でしょうか。VWグループとトヨタグループの稼ぎ頭として営業利益率を高く維持することが使命なのだから(アウディQ2なんてどう考えても勝ち目はない)。決して顧客から不必要にボッタクっているわけではなく、付加価値を最大限にする経営工学とブランディングを駆使して満足度を上げているだけだ。日本ではすでに「満足度」にのみ金を払う文化が全業態に広がっている。

 

 

自動車神話の終焉

他の製造業でもブランディングは絶対的に必要なものになっている。ITツールなどの最先端なものではなく、むしろ業態が50年以上続いていて、どこの国でも作れるような製品(食品、衣類、テレビ、扇風機など?)ほど必要なスキルなのだと思う。自動車は他の家電製品とは違う・・・中国のWTO加盟以後も日本生産が衰えなかった「自動車神話」は2000年代の終わりには破綻し、今後はブランディングに成功したメーカーだけが国内生産で生き残ることになると思う。ジムニーやノートe-POWERなど成功例はどんどん増えているけど。

 

 

ユーザーは買う『意味』を求めている

そんな中でボルボやマツダは腹をくくって、価格帯を上げてきた。国沢光宏率いるオッサン・カーメディアは、ずっとマツダの値上げをディスっていたけど、この1年くらいはかなりおとなしい。レクサスやアウディに伍する居住性をキャッチアップできれば売れる!!と経営陣は信じていただろうし、ディーゼルで攻勢を仕掛ける予定だった欧州勢に対して、エンジン単体で十分にアドバンテージを見せつける戦略がハマった(実際はそれほど差がないのだけど・・・)。

 

 

値上げすれば売れる

ボルボもマツダも価格なりの「価値」を示すことによく集中できていると思う。本当にいいクルマならば600万円でも飛ぶように売れる!!いや600万円以上するから逆に売れる・・・ってこともあるだろう。実際にマツダが600万円のレンジで売れるかどうかは半信半疑です。ボルボやアウディなら確実に600万円以上するクルマが400万円で買えるお値打ち感がアテンザにもCX-8にもあるのは確かでしょう。

 

 

このタームがどれだけ続くかは不明

レクサスとアウディの反撃も始まりました。吉利汽車という頼りになる(?)後ろ盾を持つメルセデスとボルボも、VWグループの「庭」であった中国市場を草刈り場にすると思われる。ポールスターなどEVも大々的に売るだろうな。マツダとしては、北米、欧州、中国そして日本でも顧客を奪い合う直接的なライバルになってきているこの2ブランド(メルセデスとボルボ)に対して、マツダの次世代製品群がこの難しいステージを超えていけるのだろうか・・・ギャンブラーはマツダ株を握りしめて見守ろう!!

 

「輸入車絶好調報道に、レスする痛々しいオッサン達のコメント」 

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

    通りすがり (木曜日, 15 11月 2018 21:09)

    ジャンルに関係無く、高級ブランドの肝は「商品力」以上に、ブランドの歴史から生まれる「物語」や「幻想に」あると思います。であるからこそ、アパレル系のブランドは中国製のコピー等に対して非常に厳しい態度を取るのではないでしょうか。
    そういう「幻想力」から言えば、車業界のブランド力はメルセデスの一強で、御三家等と称されてもBMW・アウディとの地力の差は大きいと思います。
    こういう観点で見ると、BMWの「幻想」を壊す「イマジンブレイカー」になる危険が高いのが、今のMAZDAなのでははいでしょうか。現在販売している全車種を比較すれば、まだまだBMWに軍配が上がりますが、例えば「320d対アテンザXD」の如く、「値段が安いのに、FFなのに」車の評価が逆転しているケースが出て来ているわけです。(最新のMCでは内装ですら逆転)他にも、新型CX-5とBMWのSUVを比較した際、確かに走行性ではBMW車が勝るのですが、倍以上の値段程の差は全く無いという様な、「平民が貴族様の庭に足を踏み入れる」かの如き下克上が起きている感があります。
    これは先に述べた中国コピー商品とは別ベクトルで「高級ブランドとか言ってるけど、実際は値段ほどの価値無いんじゃね?」という風な幻想破壊を危険があり、BMWにはメルセデス程の「歴史・物語」といった鎧は無いと思います。
    最近の雉沢氏やマ〇〇ンXの狂人的な輸入車礼賛に伴うMAZDA叩きも何らかの政治力が働いているのではないでしょうか?

  • #2

    CARDRIVEGOGO (金曜日, 16 11月 2018 22:48)

    コメントありがとうございます

    BMWは320dなど主力のディーゼルモデルは、どうやらマツダの実勢価格に合わせて新品未使用在庫車の価格を決めているようです。320dが350万円でアテンザXDに、118dだと230万円くらいで、アクセラXDに完全に照準を絞っている。メルセデスも値下げが凄いことになってますが、こちらはSクラス、Eクラスもそこそこ売れているんですよね。BMWの5や7は完全に終わってますけど。

    マガジンXさんですかー。ひと昔前は「日本車はどれもダメ!!」みたいなバカ論調が許されましたけども、ネット時代が深化してあまりメチャクチャな言い方はできなくなりつつありますね。群馬トヨタの販売店の不祥事をずっと追いかけてしつこいですけど、記事の間違いを指摘しても知らんぷりを決め込むチキンな姿勢には呆れます。