CX-5 と RAV4 徹底比較

 

MAZDAの新しい世界が明らかになる

5月24日にマツダの新型車の発表を予告している。「MAZDA3」になるのか、「アクセラ」のままなのか、それとも全く新しい名前になるのか・・・興味深い。なんか突然にポリーニとかビアッジオとかイタリア語の名称が発表されたら・・・周囲はポカンってなるだろうけど、何らかのサプライズを起こすには絶好の機会であるし、これから10年くらいに渡って販売を左右することになるから重要だ。突然の「ファミリア」復活でもポカンだな・・・。

 

 

マツダのエースがピンチ!!

それ以上にマツダにとって重要な案件が、最大手メーカーが本気になって作ってきた「RAV4」にどうやって対抗するかだろう。現状のMAZDAは北米市場では完全にCX-5に依存している。日本市場でも大きな成長はCX-5の売れ行きに期待するしかない状況だ。CX-5が産む利益がグローバルでのマツダの利益のほぼ全部とか言われているくらいの大黒柱に、突如として最大のピンチがやってきた。

 

 

価格設定から臨戦態勢・・・

CX-5のボトムは2Lガソリン自然吸気で257万円。CX-3を見にきたお客さんがCX-5を買ってしまうというマツダの戦略価格になっているけども、新型RAV4のボトム価格は戦慄の260万円。ユニットは2Lガソリン自然吸気だけども、レクサスUX用に新造された「M20A-FKS」というTNGA世代用に新開発された直4ユニットを使う(ハリアーやヴォクシーとは違う!!)。最大の売りは171ps/6600rpmというスポーツカーにもそのまま使えそう(次期ロータス用か!?)なスペックで、見事に時代に逆光した高回転ユニットになっている。

 

 

内燃機関を高めたトヨタ・・・

このトヨタらしからぬユニットに組み合わされる発進ギア付きのCVTは努力の塊で、(MAZDAの)トルコンATにこだわる必然性を薄めつつある(個人的にはMAZDAミッションが上だと思うけど)。カムリ譲りのがっちりしたシャシーで、従来のトヨタのミニバンやSUV(C-HRを除く)のステアリング剛性の乏しいタッチではなく、ダイレクト感を重視した仕上がり。しかもトヨタらしからぬユーロNCAPで最高ランクまで獲得。

 

 

トヨタは怒ったぞ!!

このクルマはマツダの得意技をトヨタがことごとくコピーしたような設計だ。ノームコアなテイストが溢れるエクステリアも、適度なヌケがハイセンスにまとまっている(トヨタはこれまでも確変で良いデザインを出してきたけど)。最初からターゲットを絞っていたようで、ことごとくCX-5の長所を潰している。AWD車の価格も同じ280万円〜。171psならマツダの2.5L自然吸気と比べてもそれほど遜色はない。ユニットもマツダの2Lと2.5Lのちょうど中間を狙って開発したんだろーな。

 

 

出る杭は打たれる

「マツダがレクサスへの敵愾心を示したため、トヨタが懲罰的な取り扱いをした」・・・CX-5とRAV4の抜き差しならない対峙に至った原因はマツダ、トヨタ双方にあると思う。レクサスRXの静粛性を超えてしまった!?とか言われている2代目CX-5Lパケのやりすぎた遮音がそもそもの引き金だった可能性が高い。2代目になりCX-5のアメリカ市場の販売は大きく伸びていて、気がつけばレクサスの稼ぎ頭であるRXを軽く追い越している。日本市場でもRXはドイツブランドのライバルモデルとそれほど変わらない程度の低迷。

 

 

もはやMAZDAの域を出ている!?

初代CX-5はドライビングSUVを念頭に置いた開発だったようだけど、二代目になり「これはマツダ!?」と言いたくなるソフトなタッチになった。マツダがトヨタやレクサスに寄せたことが北米での販売増にどれほど影響しているのかは不明だけど、マツダなりに商品性の試行錯誤があったのだと思うが、結果として「藪蛇」だったかもしれない。・・・さて戦うのか?逃げるのか?

 

 

CX-30はさらなる戦線拡大!?

横置きCセグをベースにしたSUVがグローバルで50万台/年売れている。これは間違いなく世界トップレベルであり、トヨタに強烈に因縁をつけられても仕方ない数字だ。「横置きCセグSUV」という定義での後継モデルは年内に発売が予定されているCX-30となるのだけど、このクルマは言うまでもなくC-HRに挑む意図が見える。まだトヨタを焚きつけるのか・・・。

 

 

SUVは価値観の転換がポイント!?

CX-5とRAV4の現状は・・・やっぱりトヨタ有利かなー。「トヨタの真似をしたマツダ」と、「マツダの真似をしたトヨタ」のどっちが魅力的だろうか!? なんだか意味不明なコラボ合戦が始まっている。トヨタがトヨタらしく、マツダがマツダらしくは、セダンでは歓迎されるかもしれないが、SUVでは今までのブランドイメージを覆す「テイスト」が欲しいのかもしれない。トヨタはスポーティでマツダは高級感・・・。

 

 

マツダの判断は難しい・・・

北米では大人気のスバル・フォレスターをも台数ベースで超えてくる急成長を遂げたCX-5と、貫禄で北米SUVの頂点に立つRAV4。新型RAV4になっても日米で売れるんだろーな。・・・でマツダが投入を予告している縦置きのSUVへの置き換え後はどうなるのか!?これ以上トヨタに贖うことは難しいとの判断があるのか!? 現状のCX-5の「限界」が見えているんだろうな。トヨタと同じコストでクルマ作ってもさ・・・RAV4の日本&欧州市場への参入で一気にレッドオーシャン化が進むことを見越している。

 

 

トヨタのグローバル戦略は・・・

アテンザに関しても同じことが言えそうだ。カムリが日本&欧州で主力モデルとして販売されていて、これ以上は横置きDセグのマツダはもう無理なのかなー・・・。CX-5やアテンザのさらなる進化/深化/神化を期待していた人にはちょっと残念な事態になったかもしれない。個人的な希望をハッキリ書いておくならば、横置きベースで現状のCX-5、アテンザ車格の後継モデルがあったらいいけども・・・。