スカイX実測燃費は極めて良好(らしい)

 

MAZDA、BMW、MERCEDES

加速、燃費、静粛性などのクルマの基本性能をやたらと測るのが好きな「ドライバー」誌のウェブサイト版にて、20日発売の雑誌では間に合わないと思ったのか、スカイX搭載のMAZDA3とそのライバル車の「実測燃費対決」のレビューが掲載されていた。さすがにデータを測りまくっている媒体だけあって、競合させるライバル車の選択もスマートで、「CVT搭載」という渋滞向け非エコなミッションを売りにするつまらないモデルは除外されている(MAZDA3を選ぶような人はおそらくCVT車は無視)。しかもありきたりで設計が古いVWゴルフも外しているのも素晴らしい。

 

ミッションが・・・

選ばれたライバル車はAクラスのディーゼルと、FF化された1シリーズの1.5Lターボ。これにMAZDA3(スカイX)の3台で高速道路と一般道の平均燃費で競う。メルセデスとBMWが相手であればマツダの新型エンジンなら圧勝!?・・・だと思っているマツダファンはほぼ皆無だと信じたい。そりゃ「driver」ですよ、マツダがメルセデスやBMWをボコボコにする「絵図」は編集部NGなはず。クルマがわかっている人ならば高速道路ステージでは、直結のDCTを配備する2台に対してマツダだけ不利なトルコンATなのだから、もう笑うしかない。同じく直結の6MTを使えば結果は変わるだろうけど・・・。

 

排気量も・・・

普通に考えて「2.0Lディーゼルターボ」と、「1.5Lガソリンターボ」と、「2.0Lガソリンスーパーチャージャー」が燃費で競争すればそりゃ結果はやる前からわかるのですが、このウルトラハンデ戦をギリギリの接戦に持ち込んだのだから、俄然買う気になりましたよ。MAZDA3スカイXの一般道燃費がやはりメーカーの狙い通りに18km/Lも出ちゃったようで、この数値にはさすがに1.5Lガソリンターボの1シリーズでもお手上げ(16.7km/L)。マツダがロックアップに取り組んだステップATはおそらく世界最高レベルの街乗り燃費を誇るトルコンになったのでは!? さらに一般道ステージではDCTが大いに不利という現実もある(ゴルフの燃費に騙された!!って人多いですよね)。信号地獄の都市部では多段化された中でなんども変速を強いられるのだから、そりゃ空走によるロスも大きくなる。

 

 

次のMAZDA車はスカイXだな・・・

高速・一般道共に20km/Lを超えるA200dの燃費は立派だけど、それならばMAZDA3にも同等以上の燃費ポテンシャルを誇るディーゼルがあるのでそれほど問題ではない。それよりもMAZDA3スカイXが、6000rpmでパワーピークを迎える「回る」エンジンなのにもかかわらず、より排気量が小さくてパワーも小さいガソリンターボや、ディーゼルターボを相手にしても遜色ない燃費を発揮できることがすごい。これはもう「世紀の発明」と言っていいのでは!?

 

MAZDAファンは大事なお客様!?

driver webのマツダ関連記事は、どれもこれもイタズラ心が満載で、「MAZDA6は改名で便乗値上げか!!」みたいな見出しを付けてくる。熱心なMAZDAファンは「そんなわけねーだろ!!」と半ギレしながらページを開いているんだろうな(自分もですけど)。もしタイトル通りに「ベストカー誌」のようなステマまがいのMAZDA叩きの結論だったら承知しねーぞ!!って想いが頭によぎるのだけど、本音を言ってしまえばベストカーのようにバカに徹しているメディアの方がアドレナリンみたいなものが出るかも。ステマまがいのマツダ叩きを読んで勘違いしている「愚民」が寄越したコメントをレスでボコボコにするのはちょっと楽しい。

 

リンク

最近やってきた「愚民」(失礼)

 

 

メルセデスやBMWも絶対欲しいエンジン

それにしても今回のdriver webはとても良いレビューだ。マツダ、メルセデス、BMWのファンそれぞれに納得できる結果だと思う。繰り返しになるが、スカイXの総合燃費が3位になったことに対して、driver webに不満を持つのはちょっと違うのかもしれない。この結果を見れば3ブランドのファンのほとんどがスカイXが欲しいと思うだろう。メルセデスとBMWが燃費を伸ばすために、プライドを捨てて回転数が上げられないディーゼルと小排気量ターボを投入しているのに対して、言うまでもないけど、欧州メーカーが苦戦、日本メーカーがHVに注力する中で、フォード時代からエンジン開発体力に関しては恵まれていたMAZDAならば、これくらいの成果を出してもそれほど驚くことではないけど・・・。

 

 

MAZDAの法則

沢村慎太朗さんが以前に第五世代(2002〜2012)から第六世代(2012〜2019)のMAZDAのディーゼルエンジンの技術的なブレークスルーを讃えている(「午前零時の自動車評論7」)。簡単に言ってしまえばNOx対策で燃焼温度を下げた結果、鋳鉄ブロックのアルミ化やフリクションロスの少なさから高回転化を実現してしまった。静粛性が高く、軽くて、高回転のディーゼルエンジンを、「(不完全で高コストな)尿素SCRを使わない」というスタート地点から、日本車らしい静粛性とマツダらしい高回転ユニットへと結実させた「創発」的なイノベーションなんだってさ。

 

 

3つのビジネスモデル

オイルショック後の自動車産業において、「日本の乗用車」、「アメリカのピックアップ」と並んで、メルセデスやBMWが「ドイツの高級車」として、安定した収益を得るビジネスモデルを構築したことは紛れも無い事実だし、大いなる敬意を払うべきだ。そんなドイツの二大巨頭がやりたかったことをMAZDAがあっさりとやって退けた。第五世代の始まりを告げる「GGシャシー(金井誠太氏のアテンザ)」、第六世代を決定づける「スカイアクティブD」、そして第七世代の「スカイアクティブX」は、いずれも「日本の乗用車」の枠をはみ出して「ドイツの高級車」のビジネスモデルとして限りなく理想的な設計を持っているのは偶然だろうか!?

 

 

MAZDAの歩みはブレない

GGシャシー、スカイD、スカイXの3つだけでなく、さらに時代を遡れば第四世代の「ロードスター」「RX-7FD3S」「ユーノスコスモ」や第三世代の「サバンナRX7」や「RX7FC3S」おそらくどれもが同時代にメルセデスやBMWにOEMしていたとしても全く遜色ないレベルの快作だ。異論はあるかもしれないが、これがMAZDAのやり方なんだと思う。

 

 

日本市場での売り方

一部の特殊なスポーツカーを除けば、世界には大きく分けて3種類のクルマがある。その現実は40年前から大きくは変わらない。「日本設計の乗用車」「アメリカ設計のピックアップ」「ドイツ設計の高級車」。現在大手の3つのアメリカメーカーは乗用車や高級車の設計を次々と放棄している。アメリカの自動車産業では40年変わらずビジネスモデルとして優秀なのは依然として「ピックアップ」だけらしい。日本市場でもまだまだクルマを売りたい欧州ブランドは、ちょっとびっくりな水準まで日本メーカーの「乗用車」を真似てきている。プジョーとシトロエンがトヨタのノアやヴォクシーの設計(技術提携)を使ったミニバンである「リフター」と「ベルランゴ」を日本に投入(トヨタがよく許したな・・・)。これがなかなかの人気らしい。

 

 

ヴォクシーのフランスメーカー版が上陸

プジョーシトロエン(PSA)を裏から操るトヨタ? そしてPSAとフィアットクライスラー(FCA)が統合を正式発表した。さてさて今度はマセラティ版のアルファードでも出るのかな!? フランスメーカーの乗用車は区分の上では全て「日本の乗用車」の枠組みに入る。そしてメルセデス、BMW、アウディ、VWの日本で盛んに売っているモデルも、もはやドイツ伝統の高級車から離れて、限りなく「日本の乗用車」となっている。どんな形であれ、買う人が気分良くクルマを選べる環境ってのは素晴らしいことだ。間違ってもマツダファンが欧州ブランド車に乗る連中を「不条理に」誹謗中傷することがないことを願う。身分をわきまえずにネットのコメント欄などでマツダを批判してしまった愚かな欧州車ユーザーは、啓蒙のために(見せしめに)血祭りに挙げるべきだとは思うが・・・。

 

 

絶妙な立ち位置

SUVブームはひと段落したようだが、やはり飽和気味な市場を打破するためにはさらなる「クロスオーバー」が必要なんだろうな。フランスメーカーがどっから見ても日本車設計のクルマを独特の世界観でまとめて商品性を引き出す。とても素晴らしいことに、日本市場でシェアを伸ばしている。1970年代の終わりの第三世代から「ドイツの高級車」のビジネスモデルを設計の随所に取り入れてきたマツダ。決して世間で言われているような「パクリ」ではないと思う。マツダがその理想に突っ走って作ったクルマとその設計が、たまたまドイツメーカーの道を開く格好になっている。ロードスターにせよ、サス設計にせよ、ディーゼルの高回転&静粛化にせよ、先行したのは間違いなくマツダだ。

 

 

選ばれし3台

driver webの3台のチョイスは絶妙だ。メルセデスやBMWにそのままOEMも可能なMAZDA3と、そのまま搭載可能なスカイXを、現役バリバリの両ブランドモデルとガチンコさせる。なかなかいいセンスしている。インプレッサ、シビック、カローラなどの「日本の乗用車」と比べて別物とまでは言い切れないけども、「CVTを使わない」というこだわりは今時のクルマ選びにはとても重要な問題だ。1シリーズ、Aクラス、MAZDA3はブランド本来の「ドイツの高級車」というビジネスモデルからはハミ出ているが、それでも「日本の乗用車」が陥る「画一性のワナ」からはしっかり距離を置いている。それゆえに新しいジャンルとしてタイトルを付けたいくらいだ。

 

 

危機的状況(延期してる場合か!?)

増税後の日本では恐れていた通りにクルマの販売が壊滅的だ。ほぼ半減した販売台数で、普通車の最新月次ランキングは1〜5位までトヨタ車の寡占状態だ。他の日本メーカーが築き上げた技術をトヨタが全て吸収し、圧倒的な営業力で売りつくす「地獄絵図」がさらに悲惨さを増し、いよいよ日本市場の自動車販売に暗い影を落としつつある。輸入ブランド&MAZDAの日本市場撤退とかいう悪夢がチラつく。日産やホンダは「養分」でしかない現実に戦意喪失!? それでもマツダの戦略を好意的に見るならば、「トヨタにパクられない戦略」なのかもしれない。2012年以降のマツダの日本向けディーゼル販売では、先行していたBMWとメルセデスの存在が大いにマツダを助けてくれた。マツダとメルセデスはマイルドハイブリッドを使ってエンジン回転を上げる方向性で一致している。BMWもすかさず追従するだろう。

 

 

ドイツと日本で叫べ・・・

HVに固執するトヨタにとっては高回転ユニットあるいはマイルドハイブリッドの導入は心情的に難しいと思われる。マツダとメルセデスが見つけた「ブルーオーシャン」に、「BMW&ジャガー(エンジンで同盟関係らしい)」と、「(アウディにとって変わる)ポルシェ」が・・・参入するかは不透明だけど、FRシャシーに高回転ユニットという古典的な「ドイツの高級車」モデルが華麗に復活し、日本市場でも「ノーモアTOYOTA!!ノーモアCVT!!」を叫ぶようなタームがやってくることを密かに期待したい。実現にはBMWやメルセデスの奮闘だけでなくMAZDAの「イノベーション」能力こそが最後の希望であり、マツダファンだけでなく、ドイツのクルマ好きもマツダに何らかのブレークスルーを期待しているはず。欧州でのスカイXへの反響の大きさから明らかだ・・・。

 

 

リンク(driver web)

「スカイアクティブXの燃費テスト! マツダ3はライバル勢を圧倒できたか?」

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コメント: 7
  • #1

    通りすがり (日曜日, 22 12月 2019 08:34)

    MAZDA3・セダン(1.8XD)に乗っていますが、山梨から静岡に向かう際、「本栖湖→朝霧高原→静岡」といった信号が殆ど無い峠道のみだと普通に30km/ℓ超えますね。
    リセットせずに市街地に入って長く走っていると24km/ℓぐらいになって、家に戻って「家⇔職場(信号多い市街地)」の普段使いを数日続けていると17~18km/ℓに落ち着きます。

  • #2

    こてまふ (日曜日, 22 12月 2019 12:12)

    アクセラ2.2XDに5年間乗ってました。
    エンジントラブルの多さには、呆れます。
    リコールの葉書も数枚届きました。
    国交相のサイトを見ていただければ、2.2ディーゼルのトラブルを確認してもらえます。
    Xも初期トラブルが少ないことを祈るばかりです。
    個人は、評論家の評論と違い購入すると長い付き合いになる訳ですから。
    70万円近い差額をXに払うのですから、しっかり作り込んで欲しい。
    マツダは、昔もプレッシャーウェーブスーパーチャージャーとか技術先行し過ぎて失敗することが度々あります。
    Xも独りよがりの短命エンジンにならないことを祈ります。

  • #3

    ツダ (月曜日, 23 12月 2019 12:47)

    消費者は正直。いいものなら売れるさ、いいものならね

  • #4

    Ueda (火曜日, 24 12月 2019 08:31)

    海外誌でカローラハイブリッドとの燃費比較もありました。下記が要約です。
    マツダ3 を、アウディA3 40 TSFIクワトロ、トヨタカローラツーリングスポーツハイブリッド、メルセデスベンツA 220 dと比較しました。
    結果は明らかだった:ダイムラーのディーゼル消費量の全ての駆動プロファイルは、6.0リットル/ 100キロの平均であった。マツダ3は、6.6l / 100 kmのガソリンを必要とし、トヨタハイブリッドとまったく同じだった。両方の車がそれぞれの運転プロファイル(通勤、エコ、スポーツ、高速道路)でまったく同じ量を消費しました。アウディは、4輪駆動搭載の負担もあり、エコ通勤や高速道路での通勤時、さらにスポーツ運転時の燃費悪化が大きく標準ガソリンエンジンである8.0 l / 100 kmになりました。

  • #5

    軽ドライバー (木曜日, 02 1月 2020 12:14)

    マガジンX、1月号の「総括」でマツダ3を結構アゲてきて、「ん?」と思ってたら、今回の2月号でドン底まで落としてきましたね。3人揃って夢の50点台とは、資金入り談合を疑いたくなるくらい。

    …人間の作るものに完璧などあり得ないので、悪意と知識のある人間にかかれば、アラを探して腐すことなんぞいくらでもできるって見本みたいなコーナーで、お屠蘇気分も吹っ飛びました(悪い意味で)。

  • #6

    通りすがり (火曜日, 07 1月 2020 22:02)

    マガジンX、かなりデタラメ書いていますね。要するに「MAZDA第七世代の新型トーションなんて、トーション巧者のフランス車ではとっくにやっている内容で、未だにフランス車の猫足的乗り心地には及ばない。」とか言っていますが、そもそもフランス車(特にプジョー)の乗り味が「猫足」という形容でもてはやされたのは、80年代以前に「フルトレーリング・アーム」型トーションを使っていた時期の話であって、その後 車の衝突安全性基準が厳しくなった事を受けて、それまでの「フルトレーリング・アーム」型トーションでは対応できなくなり、上級車種はWウィッシュボーンに、それ以下の下位車種は「中間連結」型トーションに変更しています。変更の主な理由は、車重と車の動力性能向上に対して、従来の「フルトレーリング・アーム」型の弱点である横剛性不足が解決できなかったからであって、Wウィッシュボーンに変更した上級車種は良いのですが、VWの方式を踏襲した「中間連結」型トーション採用の下位車種は、VW程のノウハウが無いので、未だに単なる「劣化ゴルフ」的な乗り味しか体現できていません。要するに、「今のフランス車のトーションに猫足的乗り味なんかないだろ」って事です。一方、MAZDA第七世代のトーションですが、横剛性確保の為に、つっかえ棒であるビームの中央と外側で径を変える新形状を新工法で実現し(特許申請)、それによって従来型マルチリンクの8割弱の横剛性を確保、足りない部分はイニシャルでトーインとネガティブキャンバーを付ける事でカバーしています。
    ちなみに私は先代アクセラXDに三年乗っていましたが、今のMAZDA3の方が乗り心地は良いです、足は固めですが、アクセラの前に乗っていたアテンザも含め、元々MAZDA車の足は固めです。マガジンXが「先代アクセラに比べて長時間運転が疲れる。」とか書いていますが、100%無いです、大嘘です。そもそもあの老害ライター達は、上記の通りフランス車に関してすらデタラメ書いていますから。

  • #7

    kaz911 (金曜日, 31 1月 2020 19:38)

    たしかにマガジンXはあてになりませんね!
    ライターの褒めていた車種に7人で300kmほど乗りましたが(7人乗りだから当然です)、くだりのコーナーでは踏ん張れずに恐怖でしかないし、普通に走っていてもフラフラで肩に無意識に力の入る疲れるクルマでした。
    それ以来、信用度ゼロです。