ポルシェSUV 20万台の衝撃

 

 

異次元の成功

2019年のポルシェSUV2車種は、カイエンが92,055台、マカンが99,944台を販売。ブランド全体で280,800台なので、SUV率は約7割。ご存知のようにポルシェのラインナップは、EVを除けば、縦置きシャシーと専用設計スポーツカーのみで構成されていて、2018年に株主向けに発表したMAZDAの「青写真」に世界でいちばん近い形をしているブランドであることは間違いない。

 

 

MAZDAの戦略

欧州、北米、中国それぞれ同じくらいの販売台数で、中国&アメリカでそれぞれ8%増(前年比)、欧州で15%増(前年比)という全方位的な支持を受けているが(メルセデスやBMWは欧州や日本でマイナス)、そのサクセスストーリーはMAZDAの理想そのままだと思う。説明会で縦置きプラットフォームの主力モデルにはCX-5、CX-8などSUVばかりが挙げられていたが、トヨタやホンダのように同一プラットフォームでセダンとSUVを作り分けるのではなく、あくまでSUV商品群のみでほぼ全ての数字を取りに行くというMAZDAの目論見は、やはりこのメーカーが「ポルシェしか見ていない」ことの証左だ。

 

 

 

 

撤退はありえない!!

MAZDAは2018年にSUVを中心とした縦置きシャシーで80万台を目指すと宣言し、昨年に方針を転換し発売の延期と40万台水準が現実的な目標であると修正した。それでも40万台!!壮大な規模でMAZDAは「新しい一歩」を踏み出そうとしている。フェルディナント・ヤマグチさんも「ロータリースポーツが出たら絶対に買います!!」と熱く藤原さんに訴えていたし、同じような気持ちで「本気のMAZDA」を待っている人はたくさんいる。

 

 

BMWの「プレミアムライン」・・・

SUVの需要は高いのはよくわかったけど、重要なパラメータとなるのが(数値化が難しいけど)「ブランド力」なようだ。2018年頃からX7や8シリーズで巻き返しを図るBMWも、量販車とは違うハイエンドなブランドイメージを大切にした結果、「プレミアムライン」(X6、X7、7シリーズ、8シリーズ?)の販売が2019年は前年比で66%増えて10万台を突破したらしい。

 

 

 

 

ポルシェを超える唯一の存在

MAZDAが「東洋のジャガー」あるいは「〇〇マンズ・ポルシェ」から「東洋のポルシェ」へとステップアップ(ジャガーも素晴らしいブランドです!!)するだけのポテンシャルは十分にある。シャシー、エンジン、ミッション、デザイン全て遜色ない水準のモノが作れるだろう。この手のことを書くと、「何を妄想しているんですか?」「頭大丈夫ですか?」「あっち側過ぎて理解できません」「証拠出せよ」みたいなコメントが来るので気が重いのですけど・・・。

 

 

経営破綻したら大争奪戦?

新型コロナ騒動で日本の産業構造の「脆弱性」が指摘されているけど、日本の自動車メーカーがたくさん残っているのは、MAZDA、HONDA、三菱、SUZUKI、SUBARUなどがトップメーカーよりも優れたクルマを作り、市場から一定の支持を受けたからに他ならない。BMWやメルセデスが販売する200万台のうちの大半はホンダや三菱のシャシーが使われているし、WCOTYを受賞したKIAも・・・。HONDAのセンタータンクやMAZDAの第7世代シャシーは、世界中のメーカーが欲しがるだろう。TNGA車よりも高性能なクルマが作れるのだから。

 

 

 

トヨタの欧州征服計画

イギリス、フランス、チェコ、ポーランド、トルコ、ロシアに生産拠点を構えるトヨタは、TNGAとダイナミックフォースエンジンによって欧州制圧を視野に入れている。ダイハツが新興国向けモデルを担当するので、トヨタの主戦場は欧州、中国、北米、日本、豪州の中上級クラス。欧州にアライアンス先を持たないホンダは、4輪リソースを北米、日本、中国、タイに集結させ、PSAのような(北米進出せず)地域限定戦略にシフトするようだ。

 

 

どこが立ち向かう!?

臨戦態勢が整っていない日産は、トヨタとの不毛な「足の引っ張り合い」を回避するために、より進んだ電動化戦略を打ち出してきた。レクサスLSやLCのライバルモデルなど作る意味は全くないと感じているようで、インフィニティは全車電動化だそうだ。フーガ&スカイラインは消える運命にある。

 

 

ナショナリズムの戦い

トヨタ(日本)、ルノー日産(フランス)、VW(ドイツ)、ヒュンダイキア(韓国)は、それぞれの工業国を代表するナショナル・ブランドが、「開発・生産・販売・政治」の総合力が高く、グローバルの主要市場で今後も主導権を握っていくだろう。寡占化が進む中で、クルマへのこだわりが発揮するエネルギーは、ポルシェ、テスラ、レクサスなどへの注目度に変わっている。

 

 

生き残った強豪は・・・

北米、中国、欧州でのさらなる成長を目指す4つの巨大グループ(トヨタ、ルノー日産、VW、ヒュンダイキア)だけど、トヨタのTHSの回生ブレーキ、VWのMQBのベースとなった設計、WCOTY受賞まで成長したKIAのシャシー(ヒュンダイキアJ 6)は、ある1つのメーカーの開発力から生まれている。「妄想ですか?」とかコメントが来るたびに、この事実を叩きつけたくなるのだけど、ポルシェと対等以上のクルマが作れるという「根拠」はこれだ。

 

 

結局は「哲学」

ポルシェもMAZDAも何度となく経営危機を乗り越えてきた。証券アナリスト、ヤフコメ、AJAJ評論家などから散々に「ネガティブ」な声を浴びせられても、新型エンジンにこだわり抜いたその「哲学」こそが、実生活でそれほど必要もないクルマに大金を払う「唯一の理由」だ。国沢光宏や渡辺陽一郎のようなAJAJライターが散々に書けば書くほどスカイX搭載車が欲しくなる。

 

 

最後の希望

失礼な言い方だけど「大衆」の意見通りに、MAZDAとポルシェが開発から撤退してしまったら、自動車業界は「死に絶えた」と表現してもいいと思う。誰が次のTHSの回生ブレーキを開発するのか!?VWのMQBプラットフォーム(MAZDAのB系をコピー)やJDパワーで2年連続トップのヒュンダイ・キアJ6プラットフォーム(MAZDAのB系の改良版)以降のシャシーになんらかの革新的なアイディアが出てくるのだろうか!?

 

 

カーメディアの過ち

AJAJライターが、鬼の首を取ったように「スカイX」の批判レビューを書くのも結構だけど、その前にVWがなぜ「ライトサイジングターボ」へと方針と転換し、ディーゼルに「クールドEGR」を盛り込んだのか、その経緯を説明する必要はないのか!? 確かにスカイXは突飛な印象があるかもしれないが、あのMAZDAが作った次世代エンジンだ。もう7、8年くらい前にMAZDAの人見さんがメディアに登場してまで主張した「正しいエンジン技術のあり方」を理解できればスカイXを市販化させたMAZDAの趣旨はよくわかるはずだ。

 

 

考えることが大事

昨年欧州で発売された新型VWゴルフで採用されているユニットのほとんどは人見さんのアドバイスを継承している。この驚異的な事実を、日本のカーメディアで書いていたのは「モーターファンイラストレーティッド」だけだった。多くのカーメディアではMAZDAの開発理念を説明することなく、場当たり的な批判を繰り返すものだから、結果としてMAZDAレビューには目も当てられないヤフコメが飛び交うことになるわけだ。ネットは考えることを奪うとよく言われるが、誰かの意見に乗って批判することで自分はマジョリティで賢いと思いたがる病的な人々がヤフコメやツイッターの界隈で増殖している・・・。

 

 

詐欺は許されない

HV、EV、ダウンサイジングターボの致命的欠陥を指摘した人見さんは正しかった。「1980年代にすでにわかっていたこと」と著書でははっきり明記している。30年前にわかりきっていたことだけど、偽りの姿勢で製品化を強行して中国当局に叩かれるとその直後に方針転換。確かにビジネスはスピードなのかもしれないが、それは企業が果たすべき社会貢献には当たらない!!と同業他社の姿勢に「喝」を入れたかったのだろう。ふざけんな!!真面目にクルマ作れ!!って。そんな勧告に全面的に従ったVWも偉いと思うけど・・・。

 

 

選ばれし2ブランド

安易なダウンサイジングターボ(2L未満のガソリンターボ化)に手を染めなかったブランドは3月に3ナンバーを1000台以上売ったブランドでは、MAZDA、レクサス、ポルシェだけだ。手前味噌になるけど、実際に乗ってみて全然良さを感じないので「ダウンサイジングターボはダメだ!!」とブログでずっと主張してきた。「頭がおかしい」など散々なコメントをたくさんもらってきた立場で言いたい。「MAZDAとポルシェ以外はクルマじゃない!!」(CVT全開のレクサスなんて・・・)

 

 

トヨタにもVWにも、ポルシェ&MAZDAの理念を追いかける傾向が見えてきて嬉しいです

 

 

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コメント: 2
  • #1

    usda (金曜日, 24 4月 2020 10:00)

    本当に人見さんの予言は、すごかったですね。VWのディーゼル疑獄の前に、すでに「ヨーロッパ車は、すごく無理していると思う」と予言されていましたものね。同時期に□沢は「ヨーロッパ車ほど馬力が出せていないマツダのディーゼルターボは遅れている!」とディスッていました。エンジン屋でもないジャーナリストの身の程知らずが、1年もたたずに露呈したときは笑いました。

  • #2

    CARDRIVEGOGO (土曜日, 25 4月 2020 21:12)

    コメントありがとうございます。

    人見さんのように現場のエンジニア(社員)が、プロの視点で世の中全体の幸福を示唆する的確な主張をし、その規範に則って製品を開発する会社がいわゆるグーグルやアップル。会社が営利ではなく正義に基づいて行動しているか社員が見張るアルゴリズムが備わった総合自動車メーカーはMAZDAだけ!!と声を大にして言いたいです。