コロナの影響でMAZDAラインナップが多様化!?

 

MAZDAの強さ

クルマについての検索をよくしているので、ネットニュースからは連日のように「生産〇〇%減」とかいう記事を立て続けに目にする。MAZDAは自社HPで毎月数字を出していて、レスポンスなどのカーメディアはそれを見て記事を書くようだけど、カーメディアはヒステリック過ぎるのか、同じ数字でも書き方でだいぶ印象が変わる。6/29付けでMAZDAのHPに出された5月の生産・販売状況は、ややポジティブなもので、現地生産能力を持つ中国では昨年同月比30%増に転じていて、同じくアメリカでも前年同月比とほぼ同じという数字が出ていた。

 

 

戦力的に見劣りなし!?

国内生産が80%減の状況ながらアメリカで前年並みの販売。通常値の約20000台を超えていて見通しはかなり良好だ。トヨタブランド車も合わせて生産するメキシコ工場は概ね平常運転らしい。全量輸出対応となる欧州市場の回復には少々時間がかかるかもしれないけど、グローバル販売は同じく回復が早いトヨタよりもさらにスピーディなペースで進んでいるようだ。カローラ、C-HR、RAV4、ヤリスといった「銀河系軍団」を相手に、MAZDAの精鋭部隊(CX-5、MAZDA3、CX-30)は大健闘を見せている。

 

予定?緊急対策?

欧州市場にはMX-30の導入があるけど、2020年の日本市場には新型車の予定はないらしい(MX-30のガソリン版導入報道あり)。そんな中でMAZDAから続々と追加グレードの情報が出されている。もしかしたらトヨタや欧州ブランドの営業手法を取り入れた年初よりの予定通りの「後出しじゃんけん」戦略だったのかもしれない。とりあえずコロナに苦しむ国内市場むけには、CX-3に続きMAZDA3セダンにも1.5Lガソリンモデルと効果的な対策を施して来た。

 

 

国内市場の切り札!?

ガソリンの1.5Lユニットは、元々は車重1000kgを目安に開発されているMAZDA2やロードスター向けの110ps級ユニットなので、1200kgを超えるCX-3やMAZDA3セダンにはちょっと物足りないかもしれないが、高齢者ユーザーにサポカーを売るという意味では効果的だ。コアなMAZDAファンなら、ロードスター用もしくは15MB用の2種類用意されるハイオク仕様を載せて欲しいだろうけど、ともかく国内市場において200万円前後の普通車需要のポテンシャルは非常に高いようで、1.8Lユニットを搭載するカローラを相手に果敢に価格競争を挑んでいる。

 

 

 

毎年新車を出す意味は!?

毎年1台のフルモデルチェンジくらいがMAZDAの規模&開発能力を考えると平常運転のペースらしい。コンスタントに1年に1台の新車投入によってディーラーに人を集めたり、年に1度くらいは全国のディーラーに試乗車を買わせるのが狙いなのだろうけど、ユーザー目線で考えるとMAZDA好きにとっての平均的な乗り換えサイクルは、他ブランドと比べても長く深く愛車の存在を感じているだろうから、毎年のように新しいモデルが出てくるのは、ちょっと多い気もする。

 

 

少数精鋭こそMAZDA

メルセデスやBMWのように「クーぺ」などボデータイプを多彩に追加して欲しいという声もあるだろうけど、MAZDAデザインは基本的にどのモデルもエモーショナルであるので、特別に「スペシャルティカー」仕様のボデータイプを用意する必要もない。CX-5にしろMAZDA6にしろ、そのままクーペな気分で乗れるように配慮されたデザインが施されている。コンサバなドイツの名門ブランドに対して、よりウィットの効いた「ロマン主義」デザインで挑戦する前田育男デザインゆえに・・・出る杭は打たれることもあるようだが。

 

MAZDAの勝算

数年前の株主総会で恐る恐る提出した事業計画書で、ミドル級プラットフォームの二分化で合計200万台という数字を出した。横置き&縦置きの体制はドイツの2つの名門ブランドと同じものであり、MAZDAのクルマ作りでこの2つのブランドよりも上手く立ち回る目論見なのだろう。エンジン、ミッション、車体技術などの基幹技術で比較しても、その宣言に値するだけの十分な実績を出しているので決して「無謀」だとは思わない。

 

 

5年前とは状況は変わって来た

過去にこのブログや前身ブログ「マツダ・アテンザ」で、MAZDAの「プレミアムブランドとしての将来性」を語ると、2016年くらいまでは結構な頻度で「否定的」なコメントを貰っていた。しかし欧州メーカーのスキャンダルでMAZDAのエンジン技術の堅実性が認知されるに従って「肯定的」なコメントが増えてきた。ただしMAZDAのクラフトマンシップがそのまま「トヨタ車プラス100万円」かそれ以上のブランド価値としてすぐに評価されるのは少々難しいかもしれない。

 

まだまだ「追加」モデルある?

MAZDAがこれからさらに高めようと模索するブランド価値が、実際に広く認知されるまでに、経営が傾いてしまったら元も子もない。既に開発済みのボデータイプやエンジンを組み合わせて、より多くの「需要」に応えるという「カード」をMAZDAは当初から計画に入れていたのかもしれない。コロナいシンクロするような「意味深」なタイミングで出て来た1.5LガソリンモデルをCX-3とMAZDA3セダンだけど、さらに後に続く「追加」設定はあるのだろうか!?

 

 

ちょっと不穏な感じも・・・

CX-3とMAZDA3セダンは、どちらもMAZDAラインナップの中でも選りすぐりの好デザインなので、もう少し値下げできれば確実に販売台数を上積みできそうだ。この2台の1.5Lモデルが発表されるちょっと前に、カーメディアでは複数の自動車ライターによって「1,5LのMAZDA3スポーツバックは隠れた名車」とかいう内容のレビューが出ていた。ちょっと露骨だよな・・・しかしMAZDAブランディングにとっては生命線となる「入門モデル」の宣伝戦略としては妥当なのかもしれない。