MAZDAは売れている!!
2020年6月の販売状況が明らかになった。主要ブランドの3ナンバー車販売を見てもMAZDAの好調さが目立つ。
ポルシェ 98.8% 802台
レクサス 84.5% 3505台
スズキ 84.4% 1238台
マツダ 83.9% 5778台
メルセデス74.6% 4609台
アウディ 74.4% 1822台
プジョー 72.9% 817台
トヨタ 72.4% 41631台
日産 70.4% 8649台
スバル 66.3% 6301台
ホンダ 64.6% 9459台
ジープ 64.2% 1157台
BMW 63.2% 3220台
ミニ 63.0% 1714台
ボルボ 59.3% 1156台
VW 58.3% 2622台
三菱 34.3% 1089台
新・三大プレミアムブランド
MAZDA幹部の狙い通りだろうか、いよいよ日本市場における新三大プレミアムブランドとして、ポルシェ、レクサス、MAZDAが他社を一歩リードする展開になってきた!? 名門メルセデスと同等のライバル車を用意しながら、優位に戦いを進めている3ブランドは、コロナに関係なくクルマを買ってくれるコアなファンに恵まれているようだ。「高性能な欧州車」のイメージを護持し続けるポルシェや、アメリカ人も認めるウルトララグジュアリーを突き進むレクサスへの支持が底堅いのは当然として、プレミアム市場の「第三勢力」としてMAZDAが台頭してきたことは喜ばしい。
ポルシェとレクサス
ポルシェに負けないドライバビリティと、レクサスを上回ってくる静粛性の両立こそがMAZDAの「真骨頂」なんだけども、他社ユーザーからは「MAZDAはデザインだけ」とか思われていたりするのが残念。HONDA乗りの方から「MAZDAってデザインだけでしょ!!」みたいなコメントを貰ってしまった・・・とても悔しい。しかし2020年6月の販売データが示すように、根強い人気で売れているブランドは「本質」が備わっていて、やはり日本市場ではカーメディアは的外れな感じだけど、ユーザーはクルマの「中身」をよく見て判断しているのだと思う。特にコロナなんかに動じない余裕のある人は・・・。
洗練デザインの3モデルが牽引
日本市場のMAZDAを牽引するのは CX−30になったようだ。1.5Lが発売されたCXー3も前年比150%という成果を出した。全長が4m台前半のコンパクトサイズのSUVは日本メーカーのキラーコンテンツになっている。ヴェゼルとC-HRの相次ぐ大ヒットでもはやその流れは決定的になった。ボデーは小さくても、乗用車としては高い着座位置なので、どこと無く重機や軍用車両を運転している気分がして楽しい。MAZDA3のようなフラットな乗り味を楽しむクルマとはまた違った趣きがある。
やっぱり基幹モデル群がハイレベル過ぎる
CXー30、MAZDA3、CXー3が中核を担うようになった新生MAZDAだけども、3車ともに小振りなボデーを自然吸気2Lエンジンで振り回す最高のドライバビリティだったり、ディーゼルによる経済性とトルク感たっぷりの加速が両立した乗り味は、「運転が好き」な人々にはコストを含めて申し分のない「趣向」だ。しかも3車ともにデザインが非常に洗練されたものに仕上がっている(全てWCOTYで活躍)。車格にむやみに価値を求めない堅実なユーザーにとっては他社とは比較できないレベルの選択肢になっていると思う。
フラッグシップ群は不調
好調な下位モデルに対して、現行のMAZDAが誇る「フラッグシップ商品群」(CX-5、CX-8、MAZDA6)の販売は低調だ。コロナの中でも各メーカーともにハリアーや2シリーズグランクーペなど日本のニーズに合った高級モデルが相次いで投入されていて、CX−8を除くとやや目新しさに欠けるMAZDAフラッグシップ群は苦しい戦いを強いられているようだ。CX-5とMAZDA6の刷新は延期されていて、今年の後半にはゴルフ8や新型レヴォーグなどさらなる同価格帯の難敵が参入してくる。
理由はいろいろあるだろうが・・・
新たに日本導入がアナウンスされたプジョー508SWは、なかなか凝ったデザインで無風のワゴン市場を切り裂こうとしている。MAZDA6ワゴンが、レヴォーグやカローラツーリング、CLAシューティングブレイクといった目立ったモデルに負けているとは思わないけども、「フラッグシップ商品群」に位置するワゴンというのはちょっとユーザー側に混乱を生じさせているかもしれない。気軽な実用車として買いたいワゴン車は、CLAや3シリーズツーリングくらいのポジションが選びやすい。
フラッグシップのワゴンって・・・
上位モデル(センティア、ミレーニア)が廃止され、フラッグシップとして登場することになった2代目アテンザ以降、カペラ以来の歴史を誇るワゴンモデルがあまり認知されなくなった。ハッチバックが廃止された3代目アテンザ/現行MAZDA6では、セダンとワゴンがほぼ同数の売れ行きらしい。日本&欧州向けにサイズを調整されているブランド唯一のワゴンが、オーバーサイズ気味の北米向けセダンとほぼ同数しか売れない状況は、ワゴン担当者からしたら不本意以外の何物でもないだろう。同じくレヴォーグも上位車種のレガシィB4が失速し日本市場の廃止を決めたが、レガシィの存在感がなくなるにつれて売りにくい状況になっているようだ。
手頃なワゴンを!!
FRシャシー導入でドイツブランドのような多層化ヒエラルキーを作るであろうMAZDAだけど、FFのMAZDA3からの派生ワゴンの導入に、カペラ以来のワゴンファンは期待している。しかし積載を考えるとFRシャシーの方が優れているかもしれない。いずれにせよMAZDA4(ワゴン)、MAZDA5(CDセグ4ドアクーペ)、MAZDA6(北米ミドルサイズセダン)、MAZDA7(グランド4ドアクーペ)、MAZDA8(Eセグのグランドサルーン)といった具合にラインナップを拡大する(ジェネシスの真似?)中で、ユーザーのイメージに近づける方向は間違いないだろう。まさかとは思うけど首脳陣(M田さん)の好みでミニバンに続きワゴンも廃止されたりする!?
300万円以上のモデルを売る
新型ハリアーはそれほど売れるとは思わないけど、ベース価格が300万円を超えてくるモデルを売るためには、相当に優れた「トータルコーディネート」が必要になるだろう。サイズやデザインを突き詰めた上で、シャシー&ボデーの設計で優位に立ち、エンジン、ミッションなどのコンポーネンツの性能を魅力的なレベルに引き上げ、必要に応じた電動化を講じるなど全方向での注力が求められる。
選ばれしブランド
日本のビッグ3とポルシェ&アウディを擁するVWグループ、メルセデス、BMWに加えてMAZDA、スバル、ボルボくらいがこの市場で活躍できる限界かもしれない。ジャガー&ランドローバー、テスラは400万円前後の価格では歯が立たないし、フランスメーカーは300万円以下では活躍するだろう・・・。100〜200万台規模の中堅であるメルセデスとBMW、MAZDAとスバルが最高のグランドツアラーを目指して切磋琢磨することが、「高性能乗用車」の価値を取り戻すためには必要だ。
高級か?実用か?
第7世代でシャシーが刷新されることが発表されているMAZDAの「フラッグシップ商品群」ゆえに販売不振も仕方ない。CX-8に続いてCX-5でも2.5Lガソリンターボ車のみに設定されている「エクスクルーシブ・モード」では、シートヒーターに加えてベンチレーションまで装備され、いよいよ「レクサス追従」路線が示されている。静粛性はすでにレクサスRXと互角以上の水準(SUVでは世界最高レベル?)に達しているけども、世界的大ヒットモデルとなった「生きる伝説」でもあるCX−5を「高級SUV」として受け入れるユーザー側の気分もやや複雑ではある。
第七世代は「明確」
現行のMAZDAにおいて、デミオ派生とMAZDA3派生のベース商品群は、使われ方としては欧州車における「VWゴルフ」をモデルにしているだろし、フラッグシップ商品群では「メルセデスEクラス」くらいのイメージで使ってもらうべく、安定感と快適性をうまく作り込んでいる。ちょっとシニカルに言ってしまえば、第六世代(2012〜2018)のMAZDAは「ゴルフ」も「Eクラス」も同じシャシーで作っていたわけだ。その内的矛盾をほぐすべく第七世代でラインナップを「ワイドレンジ化」する。
露骨な売り方
第六世代のスカイアクティブシャシーを使うMAZDA6やCX−5、あるいは第五世代のフォードCD3シャシーを改良(?)して使っている様子のCXー8は、それぞれに高い性能を発揮していて現行モデルとして遜色ないレベルにある。しかしMAZDAの売り方がややブランディングというテーマにおいて「性急」で、より付加価値の高いグレードを売りたいという露骨なラインナップ展開をしている。MAZDAの本気を実感すれば、頭の切り替えができるのだろうけど、ちょっとユーザーが手を出しにくいモデルになっているのは否めない。あくまで2.2Lディーゼルを買うための3モデルだと割り切ったユーザーにとってはなんの不満もないだろうけど、ナチュラルな「走り」を求めるMAZDAユーザー向けにも、MAZDA6のガソリン車は2.5Lに統一してもよかったんじゃないだろうか(Lパケ以外の比較的に軽量な25Sが欲しかった・・・)。
CXー5・25Sスマートエディション
世界的にバカ売れしたCX-5に関しては余裕があるようで、25Sのバリエーションが多く設定されている。新たに追加された「スマート・エディション」はピュアなCX-5の特別仕様車で、付加価値一辺倒だったMAZDAがやや方針変更したという意味で興味深い。現状のMAZDAにおいての「Lパケ」という「プレミアム作り込み」にやや疑問を感じるユーザーに目を向けた柔軟な姿勢は評価できる。多様化するMAZDAをそれぞれの方面でどれだけ「刺さる」クルマに仕上げられるのか・・・「ブランディング番長」を自認する自意識過剰メーカーの手腕が楽しみだ。